井上寛照公式サイト

2018.3.26 | カテゴリ:ブログ

諸行無常を楽しむ


春の陽気が漂う
心地よい季節となりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか?
 
安養寺の本堂では、
うぐいすの声が響き渡り、
梅や椿のほのかな香りが漂い、
縁側に座って瞑想しているだけで
身も心も軽やかな気分になります。
 
安養寺では、昨年の台風で
参道の桜の老木の枝が折れて、
近隣の家に被害が及ぶ恐れがあり、
やむを得ず老木を切ってしまいした。
 
その代わりとして、
春のおとずれに先立ち、
桜の1~2mほどの若木を10本
参道や境内に植えてもらいました。
 
親指ほどの細い若木ですので、
まずは根付いてくれるかどうか…
気にしながら見守っています。
 
うまく根付いてからも
花が咲くまで数年はかかるでしょう。
見ごたえのある桜が見られるのは
20~30年後でしょうか?
私が住職を退任する頃にはきっと
立派な桜が見られることでしょう。
 
桜の花びらが舞い散る花道を
梵鐘やドラの響きを感じながら、
稚児や式衆そして新住職が通るのを
微笑ましく見守っている老僧に
なった自分の姿が目に浮かびます。
 
仏陀(釈尊)は「諸行無常」
あらゆる現象は移り変わるもの
と説いておられます。
 
『平家物語』の冒頭に
祇園精舎の鐘の声
諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色
盛者必衰の理をあらわす
という有名な一節があります。
 
そのため「諸行無常」といえば、
栄華を誇った平家が没落していく
寂しいイメージが付きまといますが、
「諸行無常」の本来の意味から
見ると、だいぶん偏りがあります。
 
仏陀が説いているのは、
あらゆる現象は移り変わるもの
という客観的事実にすぎません。
 
桜の木は暖かくなれば、
木の枝のつぼみが膨らみ
きれいな花を咲かせますが、
数週間もすれば花は散っていきます。
 
でも、それで終わりではなくて、
花の代わりに若葉が生え始めます。
若々しい生命エネルギーにあふれる
新緑の季節が私は一番好きです。
 
その若葉も
数週間すれば濃い緑の葉となり、
暑い夏の間、生い茂ります。
樹木には蝉の声が鳴り響き、
夏の雰囲気を盛り上げてくれます。
 
秋になると、葉が枯れ始め、
紅葉の彩りの一つとなります。
寒くなるにつれて、葉が舞い散り、
雪が降る冬には枝だけとなります。
 
でも、よく観てみると、
樹木は夏の間に少し大きくなり、
枝には新しいつぼみが宿っています。
 
そして、凍てつく冬が終わり、
雪解けの季節になれば、昨年よりも
少し多めのつぼみが膨らみ始めます。
 
こうしてよく観察してみると、
桜の木は花の季節だけでなくて
一年間を通して、絶えず変化し
成長し続けていることが分かります。
 
こうして何度も何度も
春夏秋冬を繰り返しながら、
徐々に大きく成長していきます。
子供の成長を見守るのと同じで、
その変化を見るのは楽しいものです。
 
あらゆる現象は移り変わるもの
というのは、このような自然の
ありのままの姿を表現したものです。
 
大自然が季節とともに
刻々と姿を変えていくように、
私たち自身も、周りの人や物も、
絶えず移り変わっていくのが
自然な姿といえます。
 
私たちは日々の暮らしの中で
変化を好まないことがあります。
 
今の人間関係がうまくいっていれば
その関係が永遠に続いてほしい…
と望みます。
また、若くて活力がある時期が
できるだけ長く続いてほしい…
と望みます。
 
しかし、残念ながら、
あらゆる現象は移り変わるものです。
人間関係は時の経過とともに
変化していきます。
また、永遠に若さを保つことは
不可能なのです。
 
その客観的事実に目を背け 、
今の幸せに執着してしまうと、
その幸せにも苦しみが伴います。
 
目の前にある存在が
かけがえのない存在であるからこそ
その存在が光り輝くのです。
 
今この瞬間の体験が
かけがえのない体験であるからこそ
今この瞬間が光り輝くのです。
 
今この瞬間の奇跡を楽しみつつ、
そこに執着しない、生き方こそが
人生の質を高めてくれるでしょう。
 
そして、あらゆる現象は
移り変わるものであるからこそ、
今が苦しい状況であったとしても
その状況が永遠に続くことはない
ということでもあります。
 
今どんなに苦しくても、
自分にとって望ましいイメージを
明確にして、出来ることから
一つ一つ積み重ねていことで、
状況を好転させることは
可能なのです。
 
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◆執筆者プロフィール◆
井上寛照(いのうえかんしょう)
僧侶 / 心理療法家
 
医王山安養寺住職
高野山金剛峯寺阿字観能化
サイモントン療法認定スーパバイザー
 
《癒しの時間》
☆子供や動物と遊ぶ
☆露天風呂でぼーっとする
☆おいしいコーヒーを飲む
 
瞑想実践会やカウンセリングを通して、
心と身体を癒すお手伝いをしています。
詳細については下記からご確認ください。
医王山安養寺ホームページ
 
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