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2017.1.23 | カテゴリ:ブログ

和して同ぜず

今年は暖冬かと思われた年始とは打って変わり、
全国各地で大雪に見舞われていますね。
 
安養寺でも積雪で玄関や通路が塞がれ、
来る日も来る日も雪かきに追われています。
 
大人たちが雪かきにあくせくする一方で、
子供たちは目の色を輝かせて雪遊びに興じています。
 
こんな時には、大人も仕事を諦めて、
温泉に浸かって、雪見酒でも飲みながら、
ゆったり時間を過ごすのも良いかもしれないですね。
 
なかなかそうもいかない現実がありますが…
皆様はいかがお過ごしでしょうか?
 
さて、
日本的な風情を表わすときに
「和」という表現をよく使います。
 
和風・和式・和歌・和文・和菓子など
日本語には「和」のつく表現がたくさんあります。
 
「和」は日本人の平和や調和を重んじる
和やかな民族性を象徴しています。
 
一方で、
「和」を重んじるあまり、個性を抑すぎて、
集団に同調する傾向もときに見受けられます。
 
「和」という言葉の由来は、
聖徳太子が定めた日本初の憲法『十七条憲法』の
 
第一章「和をもって貴しとなし…」と考えられます。
 
この一文は聖徳太子が、孔子の『論語』から引用
したものです。
 
『論語』では「和」について、
「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」とあり、
 
「和」≠「同」
を明確に説いています。
 
つまり、「和」の本来の意味は、
 
「自分を抑えて人に同調すること」ではなくて、
「互いの価値観を尊重しつつ協調すること」なのです。
 
2004年に世界文化遺産に指定された
「紀伊山地の霊場と参詣道」は「和」の精神の表れの一つといえます。
 
ここでは、熊野三山・吉野大峰・高野山という三つの聖地と
その聖地を結ぶ参詣道が、世界文化遺産に指定されています。
 
熊野三山は神道、吉野大峰は修験道、高野山は仏教、
とそれぞれ独立した宗教の聖地です。
 
紀伊山脈という大自然に包まれて、
その独立した宗教の聖地が、信仰の道で結ばれ、
互いの価値観を尊重しつつ1200年間も共存しているのです。
 
その宗教が見事に融和している在り方が、
世界的に見て稀有な存在であるという理由で、
ユネスコにより世界文化遺産に指定されています。
 
島国でありながらも、多様性のある
奥深い日本文化が育まれてきたその根底には、
 
大自然に畏敬の念をもち、自他の価値を尊重し、
平和や調和を重んじる「和」の精神があるのです。